Three Months Journey.

アニメとか漫画とか小説とか、好きなものについて書きます

"巨大感情"というワードに反応してしまう百合オタクは『少女妄想中。』の「264pの5行目」を読んでください。

タイトルが全てです。

 

いや、もちろん最初のページから飛ばさずに読んでください。

つまりはそこまでたどり着けば自ずと僕の言いたいことは伝わると思います。

 

ここで終わってもいいのですが、それだけだと流石に読んでもらえなさそうなのでネタバレを回避しながら詳細を綴らせていただきます。

 

そもそも『少女妄想中。』とは電撃大賞最終選考で惜しくも賞を逃しながらもその独特で異質な世界観で大人気シリーズとなった『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんシリーズ』やシャフトによりアニメ化もされた『電波女と青春男ラノベでは売れないとされている『百合』をそれでも題材にし人気を勝ち取った『安達としまむら』などで知られている入間人間先生によるメディアワークス文庫から出版されている小説です。一応、MW文庫なのでラノベには分類されないと思います。
表紙のイラストは来期(2018年秋)にアニメ化も決定している百合好きの中で今最も注目されている作品やがて君になる仲谷鳰先生が担当しています。

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好きになったのが、“あなた”だっただけ。

 

「こういうのが初恋なんだなって、思いましたっ」

いつも背中を追いかけていた、あの人への『憧れ』。夢の中で一緒に過ごした、海辺でのあの子との『友情』。傷つけてしまったあの人へ、伝えられない内緒の『想い』。私の好きな人は、私以外の人も好きなのだろうか。たくさんの人と物の中で、その女の子を好きになっただけ。自分の気持ちが恋なのかどうか、分からないし、確かめることもできない。そんももどかしい想いを描く、少女たちの可憐な物語。

表紙からわかる通り百合です。しかもアラサーとJKの百合という強すぎる概念が含まれます。


本作は短編集の体を取っており

ガールズ・オン・ザ・ラン
『銀の手は消えない』
『君を見つめて』
『今にも空と繋がる海で』

の4つの短い話から構成されています。表紙の絵はその中から三つ目の『君を見つめて』を描いた物です。
しかし短編集の"体を取っている”とは言いましたが実はただの『短編集』ではありません。これ以上語ってしまうとネタバレになってしまう可能性があるので控えますが少しその辺り意識しながら話を飛ばさずに読んでもらえると作品の本質が見えてくると思います。


ガールズ・オン・ザ・ラン
全力で『走った時だけ見える』幻影のような正体不明の決して追いつけない、本当に存在するのかもわからない女の子をそれでも追い続けることしかできない女の子の話。

『銀の手は消えない』
心が浮遊しているような感覚に囚われる、夢のような現実のような不思議な話。


『君を見つめて』
自分が壊してしまった叔母を好きになってしまった女子高生が罪を抱きながらもそれでも叔母を求めてしまう話。264pの5行目に脳天をぶん殴られてください。

『今にも空と繋がる海で』——じゃりじゃりする話。


とにかくこの作品は、心にささくれが刺さるような少し痛みを伴う感情がデカい百合が好きな人には特に読んでほしいです。きっと刺さると思います。どうか読んでください。それが全てです。


 


P.S. 斉藤恵那概念、という言葉に反応してしまう人はこの作品はもはや必修です。買いましょう。

 

 

 

少女妄想中。 (メディアワークス文庫)

少女妄想中。 (メディアワークス文庫)

 

 

 

Summer Pocketsをプレイしてくださいというブログ。未プレイ向け。

久々の更新で申し訳ありません。

まぁもろもろ、察してください……。

しかし話題はアニメでもラノベでもなくゲームになります。

先月発売したビジュアルアーツ、keyブランドの最新作、Summer Pocketsがあまりにも素晴らしすぎたのでオススメする記事を書こうと筆をとった訳であります。いや、実際はキーボード打つだけだから筆なんか取らないんだけど。

一応、未プレイや、なんだそのゲーム名前すら知らんぞ、という方に向けた記事になりますのでネタバレは含まれていません。

 

ええ、待ちに待ってましたとも。

ひさびさのフルプライスkeyブランド。そりゃあそうでしょ。

え? まだ買ってない?

まじですか? 夏のうちに急いで買いましょう?

 

さて、まずは作品のあらすじ。

亡くなった祖母の遺品整理のために夏休みを利用して、鳥白島にやってきた主人公の鷹原羽依里。祖母の思い出の品の片付けを手伝いながら、初めて触れる「島の生活」に戸惑いつつも、順応していく。海を見つめる少女と出会った。不思議な蝶を探す少女と出会った。静かな灯台で暮らす少女と出会った。思い出と海賊船を探す少女と出会った。島で新しい仲間が出来た。この夏休みが終わらなければいいのにと、そう思った。

 

物語は主人公が夏休み期間、亡くなってしまった祖母の家に訪れるところから始まります。そこは小さな島で、いつも過ごしている都会とは全く異なる環境。そこで初めて会う同年代の少年少女と仲良くなりながらおもいおもいの夏休みを過ごしていく。というものです。

まずBGMといい演出といい夏の雰囲気を味合わせるのがうますぎる。僕は子供の頃毎年のように夏休みに母方の田舎に遊びに行っていたこと思い出しました。そういうノスタルジーな雰囲気にふけるあまりテキストを送ることも一瞬忘れてしまう始末。ここらへんはさすが今もなお愛されるAIRを作ったkeyというべきでしょうか。

 

さてSummer Pockets、結論から言わせてもらうと「素晴らしいゲーム」です。

いや、もうこれはゲームじゃなくて『素晴らしい夏休み』といえるでしょう。

ギャルゲーというよりも体感的には『ぼくのなつやすみ』に近いような気もしました。

プレイしていくうちに主人公である鷹原羽衣里の視点を通じて、僕は確かにもう僕の人生には二度と訪れることのない『夏休み』を体験しました。

でもそれは「もう俺はこんな楽しいことは体験できないのか……」という悲壮感ではなく、本当に素敵な夏休みの息遣いみたいなものを確かに"今"の自分が感じました。

ネタバレになるので詳しくは言えませんが、その不思議な没入感すらこの作品のテーマの一つになってます。

君も早く買ってプレイしよう。さぁ、夏のうちに!

 

ネタバレを含めない感想で一番声を大にして主張したいのは「これこそ王道key作品である」ということです。

テンポのいいクスッとくる会話劇、
可愛いけどどこかちょっとおかしなヒロインたち、
攻略できないくせに魅力的すぎるサブヒロイン、
やけにホモくさいけどめっちゃいいやつな男ども、
そいつらがやらかす自分もそこにいたいとさえ思えるどんちゃん騒ぎ、
「いやこれ美少女ゲームだよな……?」と心配になるぐらいの男キャラの掘り下げ、
そこかしこに散りばめられた「どこまで考えてあるんだよ」と突っ込みたくなる伏線、
そしてなにより、最初はヒロインそれぞれの個人的なもののはずだった個別ルートを読み進めていくうちにいつの間にか世界を見渡すように壮大になっていくシナリオ。
そういう「keyらしさ」みたいなものがこれでもかと押し込められた作品です。

 

keyが大好きな人はもちろん、そうじゃなくても『入り口』としてとても優れた作品に仕上がってると思います。
前作のRewriteももちろん素晴らしい作品ではあるけれど少しややこしくて難解すぎるストーリー故、少し人に勧めるのを躊躇ってしまう作品でしたが、このサマポケはそんな心配のない、素直にまっすぐ心の中に届いてきてくれる作品に仕上がってると思いました。

そうだよ。こういうのでいいんだよこういうので。

僕自身、あんまり頭が良くないので「これは……どういうことだ……?」と考えながらプレイしちゃうと感動すべきポイントで置いていかれちゃったりするので……。

でもだからといって物語が単調で薄い訳ではないのです。

後述しますが、シナリオに散りばめられていたピースが自分の頭の中でガッチリハマったその瞬間にとめどなく流れ始める大量の涙……そんなkeyらしさはバッチリ残っている……いやもしかしたらパワーアップすらしてるかもしれない。

 

この作品の大きなテーマとして、さっきから何度も言ってますが「夏休み」というものがあります。

プロローグで主人公はヒロインに「今まで一番楽しかった夏休みはいつ?」と聞きます。しかしそれはヒロインに投げかけていると同時にプレイヤーである僕たちに投げかけているものであるように感じました。

みなさんの中で【その夏】がとっさに出てこなかったとしても、この作品を追いかけているうちにその夏の匂いや手触りを強くフラッシュバックさせる、そしてそれは追体験であり、同時に初体験でもあるのです。

いや、その「なにいってんだこいつ」って目で見ないで……お願い……やればわかるから!!

とにかくその【プレイヤーが実際体験してきた夏】そのものがこの作品を楽しむための鍵となっているのです。……keyなだけに。

「あの頃の夏休みはよかったなぁ」という人も、「夏休みなんて暑いだけで楽しくもない」と思っていた人も、この作品はそんなあなたの【記憶】すらシナリオに生かしてきます。まじです。本当に恐ろしい子

 

でも、そんなこと言ってもkeyなんてあんまり知らないし、ギャルゲーとかやったことないし、まだ半信半疑だし、フルプライスだし、そんなほいほい買えるものじゃないよ……って人に朗報です。現在体験版がリリースされてます!

体験版では物語のプロローグと少しの共通ルートが楽しめます。

体験版と侮るかもしれませんがこれだけでも結構ボリュームがあります。数時間は遊べます、タダで。

しかもこの作品の魅力もちゃーんとプロローグに詰まってます。

まずはその体験版を最後まで遊んでいただきOPを見た瞬間、大概の人は「あ、買うわ……」となるはずのでそこから先は頑張ってどうにかお金を工面してしてください。

後悔は、させません。

体験版は下の公式ホームページから探せますのでどうぞ。

 

key.visualarts.gr.jp

 

 

体験版の"公式"実況プレイ動画も上がっています。こちらも非常に面白い動画になってるので体験版と並行してやってもいいと思います。

www.nicovideo.jp

 

 

 

次回更新は(おそらく)ネタバレありのプレイ済み向けの感想記事になると思います。でも考察とかはできないタチなのでそこらへんは期待しないでいただけると。

では長々とお付き合いありがとうございました。

 

異世界テニス無双騒動について。

 

matome.naver.jp

togetter.com

 

 

 経緯については上記を見てもらえればそれなりに理解できると思う。

 発表当初は望公太先生のファンとして、色々な感情が重なりカッとなって必要以上に攻撃的な発言をしてしまった事を認めて、まずは謝罪したい。

 問題のツイートは自戒のため消していないので残っているが、見ても誰も得するような内容ではないし、不快になる人もいてもおかしくはないため引用はしないが、今後はこのような事の無いよう勤めて行きたいと思っています。

【追記1/29 10:00:発言を撤回し、攻撃的なツイートは消しました。理由としては拡散し私自体へコメントをすること自体は構わないのですが、拡散した当人ではなくそのフォロワーなど不特定多数の"意図しない"受け取り側が傷つくようなツイートは消した方が良いという判断からです。なお、消したものに関しては完全に意見として撤回したものととってもらって構いません。】

 

 

 さて、しばらく時間が経ってネットの様々な意見を見て冷静に物事を考える余裕が出てきたので、自分の考えを整理しようと思う。

 なおこの記事は基本的にテニス無双ファン側から主観をまとめるが、テニプリファン側を批判するつもりの内容ではない事をここに明記しておく。

 情報があまりにも爆発的に拡散されていて、このままではテニ双ファン側もテニプリファン側も誰も幸せにはなれないの思いこの記事を残す。

 

 

 まず、一番の問題点としては望公太先生の作品におけるオリジナリティの欠如であることはまず間違いない。

 他人の生み出したネタを自分の作品に取り入れそれを発表した時点で、「望公太先生は一切悪いことをしていない」なんて言うつもりは毛頭無い。

 テニスの王子様ファンがそれに対して憤ることは当然であり、そこに関しては誠心誠意望先生は対応して然るべきであると思っている。

 と言うより、別に大概のテニスの王子様ファン側には特に問題点見当たらないと言ってもいいだろう。

 捨て垢を使って情報の拡散を測っている行為が見られるが、それは別に自衛の行為としては基本的に正しい。(と筆者は思っている)

 ツイッターでの問題提議ツイートでの無断で画像を転載している云々は悪いことでないとは言えないが、それについては様々な状況を顧みて当記事では一旦スルーさせていただく。

 

 では双方の主張が衝突してしまうのは何故か。という部分にスポットを当てて考えていきたい。

 

 その要素として考えられるのはパクリ、パロディ、オマージュ。という曖昧な線引き。

 これらの言葉は、人によって解釈が違うものである。しかもこれはテニプリファン側とラノベファン側で別れている『と言うわけでもない』。

 そこがこの問題の厄介なところで、

 テニプリ側の『パクリだから許さない』『パロディでも金儲けに使うな』etc...

 ラノベファン側の『パクリではないから問題ない』『パロディだけどやりすぎた』etc...

 と言うように同勢力間でも千差万別であるのだ。

 

 だからそもそも前提の認識としてズレているので衝突が起きてしまう。

 正解なのはAかBかという簡単な議論ではなく、人によってそれぞれの正解があるので、味方同士の意思疎通も取れずにお互いの勢力の"個々"が暴走をしている事態にある。

 

 

 では、そもそもそれら言葉の違いとは『広く』どのように『解釈』されているのか。

dic.nicovideo.jp

 

 筆者の考えと一番近い解釈をとりあえず引用する。

 要約すると。

 『パクリ』は盗用で元ネタを"伏せて"コンテンツを受け取る側(今回の場合は読者)に純粋な自分の創作物であると【騙す】行為。

 『パロディ』は"笑いをとる"ために、他人のネタを自分の作品に取り入れる行為。大概は読者が【元ネタを理解していないと面白くない】と感じるものなので元ネタは○○であると読者に理解されるように意識して創作する。

 『オマージュ』はパロディと非常に近い意味で、多くは【この作品を私は尊敬している】ということを主張するために作られるもの。元ネタを明確にしない場合もある。

 

 基本的にパクリは悪いことでパロディとオマージュはその限りではない。という認識をされている。

 

 と解説したところで申し訳ないが、筆者はこの問題に関して言葉の認識の違いは【あんまり関係ない】と思っている。

 

 正直、先ほどの大百科のページの一番下のパクリと著作権侵害という欄に書かれている 、

著作権侵害親告罪であり、侵害された元作品の権利者が訴えた時点で成立するものである。たとえそれが無断の引用や転載であったとしても、被害を受けた当事者が訴えない限り裁判を起こし法的判断に持ち込むことは出来ない。つまり、パクリ作品に対して第三者が「著作権違反だ!」「犯罪だ!」などと法的な判断を持った言葉で相手を責め立てるのはお門違いである。

ニコニコ大百科 パクリより

 

 ということがこの問題に対して一番主張したいことなのだが、これも一種の個人の意見であることは変わりないし、それではテニプリファンに対して少し不誠実だと思うので、もう少し踏み込んだ話をしたい。

 

 

 問題は内容よりも『望公太先生の対応である』という意見が比較的多く見受けられる。(もちろん総意ではないことはわかっている)

 当記事筆者である僕自身も望先生の対応について、完璧であったとは思っていない。別の言葉で別の方法で情報を発信していれば、これほどの問題にはならなかったのではないだろうか。

 

 テニプリのファンの一つの意見として「愛や尊敬が感じられないからこの作品は許されるものではない」という意見がある。

 それに対して「愛があるのかジャッジするのは原作者許斐先生本人でありテニプリファンがすることではない」という反論もあるが、とりあえずそれは置いといて、僕としてはテニプリファンを『法的に問題ない』で突き放すのではなく、どうにかその胸につっかえた不快感を取り除くために努力したい。

 何故なら良い関係を築けないままいがみ合ったままだと、もし逆の立場になった時に困るのが僕らラノベファンであるからだ。エンタメの世界では争いは本当に何も生まれない。

 

 まず、そもそも望先生に本当に『愛』はなかったのだろうか。

 僕個人としては"否"だと思っている。だからこそこの記事を書こうと思ったのだ。

 

 確かに望先生は出版前後、ツイッターにてテニスの王子様という具体名を出すことはなかった。これは筆者の主観でしかないがそれは伏せていたというわけではなく、『テニスの王子様』という具体名を出すことによってその行為自体が不誠実で不確実なマーケティングになると思っていたのではないだろうか。

 テニスの王子様の公式なスピンオフでもないのに「テニスの王子様をオマージュしました!」なんて発言をしたらテニスの王子様好きな人に対してのマーティングになってしまう。(それで本当に買うかは置いといて)

 ちょうどいい時期なので話題に出すが、今期放映されているポプテピピックというアニメは豪華声優陣を起用することで話題になっているが放映前に「誰々と誰々が声優です! なので見てね!」というマーケティグは一切行わず、直接アニメをみた視聴者の知識と認識能力に頼るというブラックボックスのような形を取りパロディとして昇華させている。(本当は寒いだけから解説などしたくないのだけど)

 そもそもパロディとはそうあって然るべきなのだと思う。パロディ作品を「パロディ作品である」と大々的に明言するのは、逆にパロディ以外のオリジナルの要素を潰すことになりかねない。テニスの王子様を好きな人に無理やりこの作品を買わせても異世界転生の面白さがわかりにくく、また別のテニプリ発祥ではない小ネタが伝わらずに終わってしまう。(一応ネタバレに考慮しているので曖昧な書き方ですみません)

 だからこそ、作者は元ネタはテニスボーイです! と茶化したり、反応する側に判断を任せるようなマーケティングを行なったのだとおもう。

 

 そもそも、異世界テニス無双という作品は、作中で主人公が異世界に転生してからは『一度たりともテニスというスポーツを行なっていない』のであって形式としてスポーツモノでは一切ないのだ。

 例えばこれが異世界に転生して現実世界ではありえない魔法を使う超人たちと『テニスの試合をする』ようなそれこそ"パクリストーリー"であったのならば望公太特有の面白さは全くでなかったであろう。

 この物語はテニスボールで倒せるはずのないドラゴンや魔法使いを、あの手この手で文字通り【倒す】のが現実離れしていて面白いのであって、テニス技術がどうこういう話ではない。(テニプリもそうだろという意見が出そうなのも重々承知してますが、筆者としてはテニプリはしっかりとした"スポーツモノの青春ドラマ"だと思っています。)

 オリジナル要素ではないものが含まれているのは確かだが、最初から最後までテニプリの要素で作品の面白さを埋め尽くしているのでは決してなく、超人的なテニス技術を持った主人公が、ラケットとボールだけ持って異世界に転生し世界を救うという"アホみたいな"ファンタジー小説なのである。

 そもそも僕のような一オタクが何故こんなにも声をあげているのかというと、「この作品がめちゃくちゃ面白かった」からなのだ。他のものに埋もれるような作品で終わってはいけない名作だと判断した上で「次巻は出ない」という状況に絶望して、ついつい最初は声を荒げてしまった。

 まぁこんな記事を書いたからといって誰にも読んでもらえないだろうし、その決定が覆ることはほぼ100パーセントないが……。

 まぁ、だから何? と言いたい気持ちもわかる。ここまで問題が大きくなったらそんなこと知ったこっちゃないと言われてもしょうがないのは確かだ。でも、テニスの王子様のいいとこ取りだけした模倣作ではないという『僕個人の意見』を述べさせてもらった。

 

 望先生がテニプリのファンであることは上のまとめを読めば理解していただけると思うが、本作のあとがきには(本文の引用はしませんが)具体名は出さずともテニプリへの愛が溢れていて、さらにはテニプリにめんどくさいツッコミをしてバカにする人たちへの"怒り"すら語られている。

 まぁここら辺は受け取りようの問題でもあるだろうが、とにかく主張したいのは、望先生はこの作品を通してテニスの王子様という作品をバカにしているわけではなく敬意で溢れているということだ。

 望先生が本作に対して「ふざけている」と発言したことが取り糺されているが、それはテニスの王子様がふざけたネタを多用した作品であるという意図ではなく、超人テニス『を』こんなふざけたネタに『昇華』させてしまって申し訳ない(ネタとして)という意味であることは本作を読んだ人ならすぐに理解できるはずだと思う。

 

 

 

 さて、散々望先生の擁護に回ったわけだが、ここからは僕が思うこの作品の『マズかった部分』を上げていこうと思う。

 僕の個人的な理想としては、これらの部分が修正されて出版し直してくれないだろうか。という夢物語を抱いているが、まぁそんなことにはまずならないだろう。

 

 まずは何よりも絵である。この問題が爆発的に広まったのは挿絵がツイッターで拡散されたからだ。

 あれはよくある構図などというつもりはない。おそらく望先生か担当編集側が意図的にキャラデザや絵の構図を似せるように発注したことは事実なのだろう。(違かったらごめんなさい)

 では、じゃあ、何のためにそんなことをしたのかという疑問。

 完全に妄想でしかないが、おそらく「ちょwwwキャラデザ似過ぎでやべぇだろこれwwww」「構図が全く一緒じゃんwwww怒られるぞwwww」という笑いを狙いたかったのだろう。

 構図を盗むためではなく、『咎められることを期待して』その上でポプテピピックのような『作者を見下す』ことで生まれる笑いを期待してああいう絵を発注していたのだと思う。

 でもそれがうまくいかず、炎上した。

 それは何故かというと異世界転生モノを普段好んで読む層は普段テニスの王子様を『読み込んでいる』人だけではないからだ。

 テニプリは国民的作品であり、誰もが知っているといっても過言ではないし、アニメはかなり多くの人が見たことがあるのだろう。だからこそ異世界転生モノや普段望先生の作品を読む層にも超次元テニスというネタやキャラデザの類似は伝わるが、しかし「原作何巻の何ページのここのコマに構図まで似せている」という(出版側としては)渾身のボケが【好意的な読者にだけ】気づかれないことが多発したのだろう。かくいう僕もその1人である。

 結果、普段から原作漫画が好きで読んでる層だけそれをすぐに理解しパクリであると嫌悪感を抱いてしまう結果となってしまった。

 なので逆に言ってしまえばどうせ伝わらないならここは別の構図の絵でも問題がなかったはずで、そこに読み違いが生まれてしまったのは残念だ。

 

 もう一つは技名の類似、これも上の件と同じような効果を望んで取り入れたが、より理解の深い人からすればパクリ認定、という残念な結果に終わってしまった。

 …………というより、「そもそも望先生ルビ振りの技名と通り名考える好きなんだから自分で考えてもよかったじゃん!!!! 何してんのさ!!!!!」というのが一ファンである僕の叫びである。まぁ、結局は後出しジャンケンなのだが。

 

 

 

 

 

 

 さて、最後になるが僕個人がテニプリファンに求めているのは、訴えを取りさげろ!みたいな的外れなことではなく、どうかその怒りを治めてくれないだろうか、という一点。

 2巻が刊行中止とGA文庫が判断した今。1巻も自主回収しろという意見が多いものわかっているが、もうこの作品は僕らラノベファンにとって大切な一つの作品なのである。

 【許斐先生や集英社が直接権利侵害で訴えるまでの間】だけでもどうか……どうか、この一巻をこっそり世界の隅っこで楽しむことだけは、どうか許してほしいのだ。

 もちろん許斐先生や集英社が問題視し、本当にGA文庫が訴えられるような自体になったとしたら潔く諦め一巻も手放し、この記事も取り下げる。

 納得できないのもしょうがない。好きなものを汚されたと思うのもしょうがない。テニスの王子様は許斐先生が汗水垂らして身を削って作り出した素晴らしい作品であるのも理解している。

 だけど、決してこの作品はテニスの王子様を冒涜するために書かれたものではないってことだけをわかって欲しいのだ。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。僕からは、以上です。 

 

 

妹さえいればいい。1話先行上映会、感想のような何か。

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 妹の日ということで、行ってきました妹さえ(正式略称。読み方:いもさえ)1話先行上映会。

 さて、この妹さえいればいい。は僕としても原作は初版を所持して読んでるくらい大ファンで、アニメ化の話を聞いたときは(その情報開示が制作側の意図したものではなくても笑)とても興奮して心が躍ったのを覚えていますね。


 でもまあ、同時に本当にあれをアニメ化するのか? 正気か? と思いましたけど。

 とまあ、既読組は、色々心配だったんじゃないのかな、と思われる妹さえいればいい。のアニメですが、新宿ピカデリーにて一足先に1話を見てきました。 

 

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Story

「妹さえいれば人生は常に最高なのに、なぜ俺には妹がいないのか……」

妹モノの作品ばかりを書き続けている妹バカの小説家・羽島伊月の周囲には、天才作家にして変態の可児那由多、女子大生の白川京、イラストレーターのぷりけつ、鬼畜税理士の大野アシュリーなど、個性豊かな人物たちが集まっている。

それぞれ悩みを抱えながらも、小説を書いたりゲームをやったりお酒を飲んだり確定申告をしたりといった、賑やかな日常を送る伊月たち。そんな彼らを温かく見守る伊月の義理の弟・千尋には、ある大きな秘密があって―。

楽しくも心に刺さる、天才や凡人や変人たちが繰り広げる青春ラブコメ群像劇、スタート!

  

 時間になると会場が暗くなり、特にアナウンスもなく開始。


 そして、すぐさま会場に響き渡る「お兄ちゃんおっきっき〜」(CV:国府田マリ子
 原作既読組はおそらく記憶に焼き付いているであろう原作プロローグのアレは「そのまま」映像化されてました。要するに放送時間、まだ家族が起きているであろう22時半に「リビングでは見るな」ってことです。 

 会場には原作をまだ読んでいない方も半数ほどいるみたいで、その人たちはおそらく総じて「これはとんでもないアニメが始まったぞ……」と顔面蒼白になったことでしょう。いや読んでてもなったわ。
 さすがはシリーズ構成として読先生が関わっているだけあり、マイルドになるなんてことは一ミリもありませんでしたね。安心しました。来いよBPO!! 審議なんて捨ててかかって来い!!!!
 

 1話は、キャラクターの顔見せと、主人公である伊月とヒロインの那由多の出会いのエピソードが中心でした。シチュエーションには多少の変更があるものの概ね原作通りの展開、それぞれしっかりとキャラが立ってて初見にもわかりやすかったのではないかと。

 そして、とにかくヒロインたちが可愛い。自分は那由多が特に好きなのですが、ドラマCDの時点で金元さんボイスの那由多には脳を溶かされていたのに、可愛い動きが付いてもう全てに抗えない……。那由多の髪型の左右の出っ張りを猫耳のように動かすシーンが好きでした。

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  京や何故かOPではサブヒロインっぽい扱いを受けている山県さん、1話本編には登場していないですけどOPにちょろっと出てきたアシュリーと蚕、そしてもちろん千尋くんも野郎どもも、みんな魅力的なキャラデザに落とし込んであって、カントク絵はやっぱり素晴らしいなと。

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 作画に関しては、動きも凝って丁寧に作られていていい印象を受けましたが、同じく秋期にはSILVER LINK.の10周年記念作品である「つうかあ」が控えているので一抹の不安が拭えないのが本音ですかね。是非両作とも頑張って欲しい!

 1話の時点で相当ぶっとんでいる妹さえですが、お気楽モードだけではなく、ちょっと胸がチクチクするようなシーンも含まれています。主題歌はどちらも1話の時点で聴けるのですが、爽やかでかっこいい疾走感のあるOPと、少ししんみりするようなEDどちらも物語に寄り添っている印象で素晴らしかったですね。リリースが楽しみ。

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 原作未読の方々にどう映るのかとても気になりますが、僕個人的には視聴前の少し大きかった不安のほとんどが2話以降の期待に移り変わるような素晴らしい出来だったと思います。
 読先生が原作本編で伊月のアニメがクソアニメにされる自虐ネタに走らずに済むので嬉しいやら惜しいやら笑

 とはいえ、1話を見て本当に胸を張っておすすめと言える作品になっているので、どうか本放送もよろしくお願いします。ドラマCDでも登場していないアシュリーや蚕ちゃんに声が乗るのが個人的にはとてもとても楽しみです。

 10月8日の22時半から、みんなもテレビの前でおっきっき〜(はぁと)してくれよな!!

 

 

 

アニメ『妹さえいればいい。』公式サイト

imotosae.com

 

 

昨日、先行上映会直後に公開されたPV第1弾

www.youtube.com

2017夏期アニメのススメ。1話レビュー。

 とりあえず、自分の視聴しているアニメを1話を見た時点での感想や期待度などをまとめて見ました。
 ほぼ自分のためのメモみたいなものですが「今期何見ればいいんじゃい」という方の参考になれば幸いです。
 期待度を表す星の数は面白さというより1話を見た時点でのどれほど期待できるかというかなり不確かなものさしですので後半に化ける可能性も、あるいは失速する場合もあるのでご了承ください。

 

 

ナイツ&マジック 期待度:★★★ 

 異世界転生&ロボットモノ。ロボットオタクのプログラムに関しては天才級の男がロボット(その世界ではシルエットナイトと呼ばれている)が運用されている世界に転生し、その世界で使われている魔法と自分のいた世界でのプログラミングの類似性に気づき、その知識を生かし成り上がっていくというもの。
 とっつきやすく面白い。舞台設定の説明にあまり時間を割かずすぐに本編に入るので非常に1話のテンポがよい。主人公が男の娘でその上一度死んでいるので怖いもの無しで天真爛漫。このキャラクター性に惹かれる人はより楽しめると思う。

配信サイト:ニコニコ動画にて1話が永続的に無料配信。dアニメストアほかにて見放題配信。

www.nicovideo.jp

 

 

プリンセス・プリンシパル 期待度:★★★★

 「スパイ」×「スチームパンク」×「女子高校生」というジャンルが謳われているアニメ、どれかにピンとくる単語がある人はまず楽しめると思う。
 個人的に多くの人にオススメしていきたい作品。
 キャラクター原案にキノの旅などで名が知られている黒星紅白が起用されていて非常に魅力的なデザインのJKスパイが多く登場する。めちゃくちゃ可愛い。なんと一国の姫までそのスパイの一味という設定(それはもはやスパイと言っていいのか疑問だが)。
 ネタバレになるので詳しくは言えないが、1話だけでまるで長編映画を見たかのようなカタルシスを自分は味わった。とにかく説明がしにくいので1話だけでも見て欲しい。

配信サイト:毎週日曜日にニコニコ生放送にて見逃しライブ配信アリ。そのほかは都度課金配信のみ。

 

 

ボールルームへようこそ 期待度★★★

 人生の目標がなく生きていた高校生男子が社交ダンスに出会い、それに惹かれていく物語。
 映像のクオリティが非常に高く、『ユーリon ICE』を彷彿とさせるようなスポーツモノ。ヒロインのような存在は存在するが、ユーリが好きだった人は惹かれるものがあると思う。

配信サイト:Amazonプライムビデオにて独占配信。

 

 

バトルガール ハイスクール 期待度:★★

 学園アクションRPGであるソーシャルゲームのアニメ化。星守とよばれる15人の少女たちが世界を守るため戦う物語。ソシャゲ版とはストーリーは異なっている。声優陣が非常に豪華、アニメオリジナルキャラの声優として高橋李衣が参加。
 キャラデザがとても可愛いので、お気に入りのキャラを見つけることができれば楽しめると思う。

配信サイト:YouTubeにて期間限定で全話無料配信。思い立った瞬間から気軽に視聴できるのは非常にありがたい。

www.youtube.com

 

 

恋と嘘 期待度:★★

 恋愛を禁止され結婚する相手を政府に決められ強制力がある世界でのラブストーリー。
 好きな相手と自由に恋愛できない世界に疑問を抱き、それに抵抗しようとする主人公とヒロインによる割と重めなストーリー。
 原作を読んでいないので1話だけだとよくわからないが、展開によっては化ける素材を持っている作品だと思う。主人公が酷い目にあいそうな雰囲気がかなりするので暗く重苦しい話が好きな人に刺さりそうな題材。

配信サイト:ニコニコ動画にて1話が無料配信。dアニメストアほかにて見放題配信。

www.nicovideo.jp

 

 

天使の3P  期待度:★★★★

 「まったく、小学生は最高だぜ!」で有名な『ロウきゅーぶ!』の作者イラストレーターのコンビが送る女子小学生のバンドモノの物語。
 引きこもりのボーカロイドを使って作曲、ネット公開している高校生、貫井 響が自分の曲を好きだと言ってくれる女子小学生3人組にライブをしたいので手伝ってくれと依頼され、彼女たちと関わりながら徐々に心を開いていくというもの。
 かなりマニアックなバンドマンや音屋も「おっ」と思えるほどに機材や演奏描写などにこだわっていて、かなり力を入れているのがわかる作品。
 女子小学生が好きな人※もちろん二次元の話(と明記しておかないと問題になりそうなので)にとってはもはや必修科目。そうでなくても音楽やバンドが好きな人も十分楽しめる内容になっているので、かなりオススメしたい作品。

配信サイト:ニコニコ動画にて1話無料、2話以降最新話無料。dアニメストアほかでも見放題配信。

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異世界食堂 期待度:★★

 異世界×飯モノという珍しい作品。
 週に一度、特別営業の土曜日にだけ、ドラゴンや亜人たちの住んでいる異世界と繋がる創業70年の老舗食堂「洋食のねこや」
 種族も姿も文化も関係なく、店主の料理に舌鼓が打てるこの食堂で、提供される料理や交流を描いたアニメ。
 異世界がテーマになってファンタジーだが、派手な描写などはなくのんびりと楽しめる作品。(いやまあドラゴンが火を吹いたりはするが笑)
 クセはあまりないので多くの人が楽しめる作品になっていると思う。

配信サイト:dアニメストア他にて見放題配信。

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アホガール 期待度:★★

 ショートアニメ。マンガ家さんとアシスタントさんとのヒロユキが原作のアニメ。
 悠木碧演じる空前絶後のアホの子花畑よし子に振り回されるツッコミ役杉田智和が演じる阿久津明を中心に描かれるハイテンションギャグアニメ。
 大御所声優2人の掛け合いはさすがと言ったところでその勢いに飲まれてしまう視聴者多数。
 なぜかOPがShangri-laで有名なangelaという謎チョイスすらいちいち面白い。

配信サイト:ニコニコ動画にて1話及び最新話無料。dアニメストアにて見放題配信。

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徒然チルドレン 期待度:★★★ 

 ショートアニメ。pixivで人気を博したwebマンガが原作。
 ある高校に通う男女のラブコメをオムニバス形式で楽しめる作品。とにかくコメディ要素が強く耐えきれず笑ってしまうような話がたくさんある中、胸がキュンとするようなものも、涙腺に訴えてくる話もあるなど、とにかくバラエティにとんだたくさんの話を楽しめる。原作もwebで無料で読めるのでとてもオススメしたい作品。

配信サイト:ニコニコ動画にて1話及び最新話無料。dアニメストアにて見放題配信。

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NEW GAME!! 期待度:★★★★

 二期モノなので省略。
 しかし、大いにオススメしたい作品なので、ぜひ一期から視聴してほしい。

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魔法陣グルグル 期待度:★★★

 恥ずかしながらオリジナル版未視聴。しかしそれでも1話だけで随分引き込まれてしまった。とにかくククリが可愛い。
 昔好きだった人はオススメしなくても見ると思うので、あえて、全く知らない人にもオススメしたい。
 王道でありメタ的である冒険モノ。人を選ばず楽しめるような作品になっているのでぜひ見てほしい。

配信サイト:ひかりTV独占配信

 

 

ナナマル サンバツ 期待度★★

 クイズ部に所属し競技クイズに挑戦するというアニメ。
 とてもわかりやすくとっつきやすく面白い内容であるが、ネットでも話題になってる通りある一点に関してだけ非常に惜しいと感じるアニメ。
 そこが気にならなければ問題なく楽しめる作品になっていると思う。

配信サイト:ニコニコ動画にて1話無料。huluほかにて見放題配信。

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クリオネの灯り 期待度:★

 ショートアニメ。いじめがテーマの学園青春モノのようだが1話だけでは色々判断しにくい。原作の評価はとても高いようなので2話以降に期待したい。

配信サイト:Amazonプライムビデオほか

 

 

てーきゅう 9期 期待度:もはや9期ともなれば期待とかそういう次元じゃないよね

 笑いたいなら見よう。以上。

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ノラと皇女と野良猫ハート 期待度:★★★

 ショートアニメ。エロゲーが原作の作品の世界観を生かした小話のような構成。
 ヒロインの1人パトリシアに魔法をかけられてしまい猫になった主人公反田ノラを中心に非常に魅力的なヒロインたちのドタバタコメディ(ドタバタどころの騒ぎじゃない気がするけど……)
 原作の体験版の内容を知っていれば大いに楽しめるが、全く知らない人にも1話の衝撃的な展開に惹かれて楽しんでる人も多数の模様。

配信サイト:ニコニコ動画にて1話及び最新話無料

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ようこそ実力至上主義の教室へ 期待度:★★★★
 ライトノベル原作の学園モノの物語。
 個人的にこちらもかなり推していきたい作品。
 高度育成高等学校と称される国が運営する特殊な学園。
 進学、就職率100%という以上な数字を叩き出すこの学園は月の初めに10万円という大金を生徒一人一人に支給するという異常としか思えない高待遇だった。
 生徒たちはその異常性に驚きながらも、それを使い青春を謳歌していく。——その学園の真実に気づかないまま。
 原作ファンの自分から見てもとても丁寧映像化されていると感じているが、しかし主人公の感情のこもっていない演技が気になる人が多く出ている模様。主人公のキャラクター像的にその演技はわざわざそういう演出にしているのだと推測されるが、気になる人はとことん気になるらしい。
配信サイト:ニコニコ動画にて1話及び最新話無料。dアニメストアにて見放題配信

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初めてのギャル 期待度:★★

 とにかくエロいギャルとのラブコメ。地上波放映版では映像が規制をされている。
 フィティシズムに触れる人にとっては名作にもなるポテンシャルを抱えた作品だと思う。

配信サイト:ニコニコ動画にて最新話無料(7/19 24:30より配信開始)。dアニメストアにて見放題配信

 

 

捏造トラップ-NTR- 期待度:★★

 ショートアニメ。それぞれ彼氏がいる女子高生どうしの百合モノ。
 百合好きにはかなり高評価。逆に好きでない人にはあまり面白さが伝わらないかもしれない。
 百合に興味があればぜひ視聴。

配信サイト:ニコニコ動画にて1話及び最新話無料。dアニメストアほか

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異世界はスマートフォンとともに。 期待度:★★

 異世界転生モノ。神様の手違いで死んでしまった少年が異世界に転生し、神様に異世界でも使えるようにしてもらったスマホを使って異世界で生きる物語。
 今までアニメ化されてきたリゼロや幼女戦記などとは違いストーリーの起伏に凄惨さや派手さはないが、とてもとっつきやすくゆるく楽しめるので、そういうものが好きな人にはオススメ。個人的にはヒロインのCVが内田真礼なのがポイントが高い。

 配信サイト:ニコニコ動画にて1話及び最新話無料。

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ゲーマーズ! 期待度:★★★

 ラノベ原作。学園のアイドルにゲーム部に誘われるところから始まる。
 しかし、主人公は、あることが気になり、その誘いを渋る。
 よくあるハーレムもののような「受け身」な主人公ではなく、しっかりと自分の意思をしっかり持って行動している所が好印象。
 原作も非常に評判がいいので、かなりの期待作。

配信サイト:ニコニコ動画にて第一話無料(※7/28 22:30より配信開始)。dアニメストアほか

 

 

アクションヒロイン チアフルーツ 期待度:★★★★

 今期の大穴枠。タイトルやPVの時点で0話切りするのは間違いなく勿体無い作品。
 ご当地キャラではなくご当地"ヒロイン"が流行する時代。
 アクションヒロイン(戦隊ショー)を目指す女の子たちの努力と友情の物語。
 1話を見るだけでわかるが、めっちゃくちゃ熱い物語となっている。
 『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』が好きだった人はおそらくハマるはず。(主人公のCVが一緒で作中でもネタにされている)
 一度、騙されたと思って見る価値は間違いなくあると思う。

配信サイト:ニコニコ動画にて1話及び最新話無料、アニメストアほかにて見放題配信。

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メイドインアビス 期待度:★★★

 どこまで深いのかすら定かではない世界に残された謎の大穴『アビス』の探索が職業として発達している世界で、親の面影を追いかけより深くの探索を夢見る少女リコ。
 冒険モノで、非常に1話の演出がよく、これから先何が起こるのかとワクワクする構成になっている。空気感がとても秀逸。

配信サイト:Amazonプライムビデオにて見放題配信
 

 

賭ケグルイ 期待度:★★★

 主人公、蛇喰夢子が転校してきた学園は、賭博行為が学園中で毎日のように行われ、その稼ぎがそのまま学園でのカーストに影響し、借金を抱えたものは家畜のように扱われる狂った学校だった。
 一度の賭けで何千万、何億という多額のお金が動く狂った賭博の魅力に取り憑かれた者たちの賭け狂いを楽しむ作品。
 デスノートみたいなダークな雰囲気の頭脳戦や駆け引きが含まれる作品が好きな人はまずハマるはず。

配信サイト:Netflixにて独占配信

 

 

ひなろじ〜from Luck & Logic〜 期待度:★★

 テレビアニメとトレーディングカードゲームを中心としたメディアミックス作品『ラクエンロジック』のスピンオフ作品。
 ストーリー自体は完全に切り離されているらしくこのひなろじから初めてみても問題ない構成になっている。
 これも1話だけだと判断しにくい作品だが、映像と作画がとても綺麗で丁寧。
 キャラクターも可愛いので期待できる作品。

配信サイト:ニコニコ動画にて1話無料。dアニメストアほかにて見放題配信。

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Fate/Apocrypha 期待度:★★★★★

 もはや説明不要のFateシリーズの外典
 通常とは違い、二つの陣営に分かれ7騎対7騎で行われる聖杯戦争
 しかし、それ以上にその聖杯戦争には「異常性」があった。
 とにかく戦闘シーンの作画が映画かと思うほどド派手で枚数が多い。
 映像も演出もキャラクターも声優も、1話時点では完璧としか言いようがない。出来。2クールらしいので個人的に大いに期待したい作品。今期の本命。

配信サイト:Netflixにて独占配信。

 

 

 

 

 

 

流行に流されることのないあなたが映画『君の名は。』を見るべき3つの理由。(ネタバレ無し)

秒速5センチメートル』を始め、素晴らしい映像美を作り出すことが得意な新海誠の最新作、『君の名は。』が現在全国映画館にて公開中であること、そして、夏休み終盤に公開された1アニメ映画タイトルでしかなかったその作品が、今日本でとんでもない旋風を起こしていることを知っている人も多いと思う。

 

 この作品を目撃し、その物語に魅了された人も少なくないだろう。だが、僕はこの作品はより多くの人に見られるべき作品だと、そう、強く感じた。

 

 「まだ見てない」「見るか悩んでる」「見るつもりはない」「なんかこれだけ持ち上げられてると見る気なくすわ」「なにこのブログ、ステマくさ」「新海誠って雰囲気だけだよな」「RADじゃなかったら見たわ」

 ——僕はそういう人にこそ是非、この作品に出会って欲しいと感じる。

 

 さらに持ち上げると逆効果なんじゃ……、と思われるかもしれないが、1人でも、「しゃーねーな、そんだけ言うなら見てやるよ!面白くなかったら金返せよ!!」となる方がいれば僕はすごく嬉しい。

 

 では、散々御託を並べることになると思うが、どうか最後までお付合いいただけたら。

 

 

 理由1 無視できない紛れもない反響。

 現在、君の名は。とんでもない反響が起こっている。
 興行収入は公開から1ヶ月もかからず100億円を越え、10月4日付で128億円、観客動員数1,000万人を記録。興行収入ランキングも公開から6週連続で1位という化け物映画と形容するものやぶさかではない。まったくこの期間に放映がスタートした他の映画からすればたまったものではないだろう。
 しかし、その数字がどれだけすごいものかよく分からない、という人のために少しだけ解説すると、いままで日本で公開された全てのアニメ映画、その中で100億円という大台を超えた作品は、君の名は。を除きたったの8作、その全てがジブリもしくはディズニー映画である。そこにその二つのビックネームに比べたらほぼ無名と言ってもいい。「新海誠」とかいうなんの後ろ盾もない男が食い込んだのだ。
 日本人でジブリ、ディズニー、という言葉を知らない人はほとんどいないだろうが、君の名は。の公開前、新海誠という名前は、オタク文化の中ではある程度有名でも、一般には全く周知されていなかったと思われる。実際新海誠監督の前作、言の葉の庭は興行収入1億5000万円、君の名は。これの100倍の成果。いや、未だに伸び続けている。これは誰もが快挙と言わざるをえない現象といえるだろう。
 それだけ多くの人に見られている。それだけでも面白さは折り紙付きだ。もちろん1人1回しかみないでこの記録を出すのは不可能であろう。それだけリピーターを生み出しているという事実も加味して、この作品は大多数の人間の心を打つ作品であることは保証されている。

 

 理由2 この作品は予告編で判断するべきではない。

 君の名は。を見ない理由の一つとして、「予告編で満足」という意見がある。
 正直気持ちはよくわかる。予告編というのはその映画の「面白いシーン」をまとめて作られ気味な傾向がある。そりゃあ、予告編というのは「この映画が面白いですよ」と伝えるためのものであるのだからその作られ方は正しい。その映画の盛り上がりどころがまるまる予告編で流されていることも、まあ、少なくはない。
 しかし、その「面白いシーン」を予習して映画を見に行ってしまうと、「期待した割になんだかしょぼかったな」となってしまうこと、皆人生で一度ぐらいはあるのではないだろうか。だからこそ意識して予告編を見ないで映画を見に行く、というスタイルの人もいるのではないだろうか。
 さて、そこで君の名は、の予告編を見てみよう。
 ………………予告編だけでかなりの満足感を得られる。
 これはどういう作品なのか、それが非常にわかりやすく編集されている。ほほぅ、面白そうだな!と思う。だが、そこで映画通の人間は一度考える。「いや、まてよこれはデジャヴ。映画館に行ったらがっかりしそうだな……」と。そう思うのも、もしかしたら自然な流れかもしれない。
 しかし、この君の名は、に至ってはその心配はない、と断言できる。
 それはなぜかというと、君の名は。の予告で語られているのは映画のほんのプロローグに過ぎないからである。
 予告編を見る限り、『心が入れ替わった男女のラブコメ』という今まで何度見たことか、と思う概要なのだが、この作品全体でみると、それはただの「舞台装置」でしかないのだ。
 この作品にとってネタバレが命取りであるため言及は避けるが、予告編以上の満足度が詰め込まれている作品である。ということは保証できる。

 

 理由3 この作品はただ「流行っている」わけでない。

 さて、最後の理由。
 君の名は。を見ない理由で一番多いのはこれなのではないだろうか。
 「なんだか、持ち上げられすぎて気味が悪い」
 そりゃそうだ。現に僕もこんな長ったらしい御託を並べて精一杯持ち上げている。そりゃオタクキモ……これだからキモオタは……となるのも仕方がない。いや、仕方ないってなんだ。悲しすぎるわ。いや、傷付くからキモオタとか言わないで……。
 しかし、実際問題これほどの爆発的なヒット、背景に何か大きな力が働いているのではないか。と思ってしまうのも仕方がない。それに見た人全員が全員間違いなく心が打たれる作品など存在しない。人間は十人十色であるのだからそれも当然だ。だから本当に正直な話をすればもしかしたら、今これを読んでいるあなたに「君の名は。」という作品が合わない可能性だってゼロでは、ない。
 しかし、僕はここ最近の流れをみてこの作品がただ流行に流されて数字を伸ばしているとは思えないのだ。
 「中高生が騒ぎ立てている声が大きいだけ」とか「一部の好きな人が騒ぎ立てているだけ」とかそう思うのも無理もないのかもしれない。だが考えてみてほしい。
 深夜アニメとは違いアニメ映画というのはそれだけでもう敷居が高いのだ。
 中高生が「この深夜アニメがすごい!」とかそんなのいつもいつも言ってるじゃん。それで実際見てみても、正直面白くないよね。と思うかもしれない。
 深夜アニメは「流行れば」だれでもテレビさえあれば観れるだけあって、数字を伸ばすことは可能。しかし、タダですきなだけ観れる深夜アニメとは違い。映画はまずお金を払わないと見れないのだ。中高生であれば1500円払わないとまずその映画を見ることすらできない。中高生にとって1500円あればどれだけのことができるだろうか。しかもリピーターは、全く同じ内容の映像を、来場者特典も全くない状況で繰り返し見ている。中高生に限っては騒ぎ立てているとしても、「少ないお小遣いを使い騒ぎ立てている」それだけでも大分違う。
 1,000万という数だけ、この映画に対して1500円ないし1800円という額を払っている人間がいる。その現象をただの「流行り」と形容するのは少し乱暴なのではないだろうか、そう僕は思うのだ。
 それに人間はお金を払うと、物事を批判をしやすくなる。お金を払っただけ、文句をいう資格があるからだ。決してこの作品に寄せられる「批判」はゼロではない。しかしそれを覆い隠すほどのお金を払った人間の「賞賛」があることもたしかなのである。
 そう、たくさんの人に一度見てみてほしい、と。僕は心から願う理由がそれだ。
 1800円というお金を払うには十分な作品であると僕は感じているし、それを複数回払ってもいいという人間がかなり多数いることも真実。
 そんな作品を流行に流されないからという理由で、まったく触れないというのはかなり「もったいない」と思うのだ。

 


 以上が、僕が思う流行に流されることのないあなたが映画『君の名は。』を見るべき3つの理由だ。

 

 

 

 さて、正直文章が気持ち悪すぎてここまで読んでくれる人などいないのではないか、と思ってしまうが、最後に一つだけ。

 

 僕はまず作品が「持ち上げられている」という表現自体にあまり納得がいかない。

 

 古来から他人に「おすすめ」する。という行為は、我々人間だけができる素晴らしい文化であるのに、いつのまにかそれが「ステマ」であったり「ゴリ押し」であったりする言葉に変換されていき、今となってはおすすめという言葉が使われること自体少なくなった気がする。
 自分が面白いと思ったものを他人に教えること、その行為自体が悪しき風習のように扱われてしまう今の現状にとても悲しみを感じてしまうのだ。
 「おすすめ」をする側も、「いやでも面白いと思うのは自分だけかもしれないし……」と萎縮してしまう始末。
 僕はもっと気軽に、深い意味を持たせずに、他人に好きなものを伝える。そんな風に思える人が増えてほしいと日々、願うばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『この恋と、その未来。』について

 5月末、僕の元にあるニュースが飛び込んできた。

 森橋ビンゴ先生とNardackさんのライトノベル作品。「この恋と、その未来。」シリーズの打ち切りが決定した。というニュースだ。
 僕は恥ずかしながら、その時点では一巻である「一年目春」を購入こそしていたものの未だ未読だった。

 理由は様々だったが、一番は、この作品を読み進めるのは相当の精神が必要だろうと判断し、読むのを後回しにしていたのだ。

 

 まず第一にこの作品に出会ったきっかけというのは、同じく、森橋ビンゴ先生とNardackさんのコンビ昨品である「東雲侑子」シリーズのファンであった僕が、偶然書店でこの本を見かけたのだ。

 この「東雲侑子」シリーズは、「東雲侑子は短編小説をあいしている」「東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる」「東雲侑子は全ての小説をあいしつづける」の全3巻からなる青春ストーリーで、これはもうとてつもなく素晴らしい作品なのだが、詳しい話はまた別の機会があれば語ろうと思う。

 

 とにかくそんな前作に魅了された僕にとって、この「この恋と、その未来。」を手に取ることは最早必然ですらあったと思う。

 しかし、前述した通り、僕はそれでもこの第1巻であるところの「1年目春」をあろうことか「積み本」として放置をしてしまっていた。

 この作品はGID、つまり『性同一性障害』を扱っている作品である。
 多分、多くの人が聞いたことがあるのではないだろうか、自分の『体』の性と、『心』の性が一致しない病気である。(果たしてそう表現するのが正しいかどうかもわからない)

 端的に言うと、この物語のヒロインにあたる人物がこのGIDなのである。
 織田未来という、一見目を見張るほどイケメンが、実は女なのだ。

 体は女だが、男として扱われることを望んだ未来が男として入学した全寮制の高校、そこで彼(彼女)のルームメイトになることになる主人公、松永四郎。
 一緒に過ごしていく上で四郎は、未来の信用を得ていくのだが、しかし、四郎は自分が未来への好意を抱いていることに気づいてしまう。
 自分の秘密を知った上で友として、そして男として扱ってくれる四郎にとても感謝し、ずっと親友でいてくれ、と願う未来。その裏では未来への好意をひた隠し、未来のその願いを叶えようとする四郎。そんな2人を中心に回る青春ストーリー。
 簡単に説明すると、そういうあらすじである。

 

 誤解を恐れず言わせてもらうと、これが一般文学であったり、夜九時からのドラマのストーリーだったりするのであれば問題はないと思う。

 

 しかしこれは、ライトノベル、として作られ、売り出されている。
 ライトノベルの定義は諸説あるが、その名の通り「軽い」ものであるという認識が強い。
 その「軽い」という認識は人それぞれであってしかるべきだが、
 しかし、このストーリーは、とてもじゃないが「軽い」題材とは言えない。
 どう考えても、みんな幸せハッピーエンドなど到底難しいことがわかるし、まず主人公とヒロインという、一般的には結ばれるはずの存在の2人の未来に、期待を持つことは難しい。
 しかし、その何もかもがうまくいかない世界、等身大の人間の葛藤、苦しみの中にある最大公約数的な幸せ、のような繊細な描写やストーリーにに魅力を感じるのも確かだ。

 僕は、たまにあるそんな「軽くない」ライトノベルを心の底から求めながらも、敬遠するきらいがある。
 例をあげると「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」や「冴えない彼女(ヒロイン)の育て方」、「さくら荘のペットな彼女」などが思い浮かぶ。

 
 僕は、そのような作品を読むたびに多大な感動を覚えると同時に、かなりの精神が、削られてしまい、疲弊してしまうのだ。
 もしかしたら、僕は物語というものを楽しむときに必要以上に主人公ないし、登場人物の心情を考えてしまうのかもしれない。
 しかし、だからこそ、その物語に入れ込み、感動をできる面もあるのだと同時に思ったりもする。

 ゆえに、この物語は、自分に心の余裕があるときに、読もう。 
 そう思っていた。

 



 ……しかしそれがまさかこんな結果につながっていくなんて、思いもしなかった。
 もしかしたら、読まなくても、2巻以降を購入して売り上げに貢献していれば、とか。読んで、そしてまわりに進めて読む人を増やせば、とか。
 そうすれば結果は違ったのではないか、と考えてしまうのだ。

 

 とにかく、後悔をしたくない、と思い僕は未だ購入していない第5巻まで4冊を買い、そして読んだ。
 

 そして、

 

 5巻まで読了。せめて罪滅ぼしと、一睡もせず一気に読んでしまった。

 「面白かった。」とはとても言えない。
 そこには葛藤や憎悪、喪失と挫折、苦しみと哀しみ、そして何より、友情が描かれていた。
 果たして僕は、こんな風に誰かを想い、傷付くことが出来るのだろうか、そして傷付けることが出来るのだろうか。

 

 なるほど確かに、ヒロインは可愛くない、全体的に陰湿な空気、決して報われない恋、そしてお世辞にも誠実とは言えない主人公。
 これがライトノベルとして売れる事は、相当困難な事だ。
 ライトノベルの俗に言う売れる要素を、如く如く排除している。

 

 だがしかし、可愛くないヒロインは、友達思いでカッコよく描き。陰湿な空気は、その中にある輝きのコントラストが映える要素となり、決して報われない恋をシリアスにそしてコミカルに表現し、誠実とは言えない主人公の人間臭さが、共感を生む。

 

 そう、この作品はエンターテイメントとして大成功しているのだ。

 実際、この作品を高く評価する人は多くいる。
 「このライトノベルがすごい!2015」では、9位にランクインするほどの実力を持っている。
 ゆえに、打ち切りのニュースはかなりの人数の人間に衝撃を与えた。

 

 では、なぜそんな作品が、打ち切りという結末に陥ってしまったのか、素人の僕には到底わからないとは思うが、
 しかし、この作品のあとがきを読むと、この作品が最終巻までかける可能性が低いことが一巻の時点で語られている。
 おそらく、スタートの時点から厳しい状況だったのだろう。
 その他にも僕らには到底推測できないのっぴきならない事情もあったのだろう。


 しかし、それでも、この「打ち切り」という判断は、ファミ通文庫にとっても、森橋先生にとっても、決して賢い選択だとは、到底思えない。
 ……いや、もしかしたら、僕個人が思いたくないだけかもしれない。

 でも、ただ
 この物語は読んだ人に必ず何かを残してくれる作品だと思うし、「売れる要素」なるものがあふれている今のライトノベル業界にとても必要な作品だと思う。

 

 だから、今からでも、もし、打ち切りという事実が覆らないとしても、多くの人にこの作品に触れてほしい。と僕は考えて、こんな文を書いています。
 この打ち切りというニュースは良くも悪くも、多くの人に届けられていると思います。それを気に読む人もいるかもしれないし、僕のように、続きを読んでいない人が続きを読むために、購入をするかもしれない。

 

 打ち切りになったライトノベルが、のちに復活した例は、決して「0」ではないです。

 

 俗っぽいですが、可能性がゼロではないのであれば、僕は無謀でもそれを信じてみたいです。
 そしてできれば、森橋先生が、必ずどこかで公開します。と約束してくれた最終巻の原稿を、またNardackさんの絵とともに楽しみたいと、思っています。

 

 

 最後に、もし、こんな長ったらしい文を最後まで読んでくれた方がいるのであれば、多大な感謝を、そして興味が湧きましたら、ぜひこの「この恋と、その未来。」という作品を読んでみてください。