Three Months Journey.

アニメとか漫画とか小説とか、好きなものについて書きます

"巨大感情"というワードに反応してしまう百合オタクは『少女妄想中。』の「264pの5行目」を読んでください。

タイトルが全てです。

 

いや、もちろん最初のページから飛ばさずに読んでください。

つまりはそこまでたどり着けば自ずと僕の言いたいことは伝わると思います。

 

ここで終わってもいいのですが、それだけだと流石に読んでもらえなさそうなのでネタバレを回避しながら詳細を綴らせていただきます。

 

そもそも『少女妄想中。』とは電撃大賞最終選考で惜しくも賞を逃しながらもその独特で異質な世界観で大人気シリーズとなった『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんシリーズ』やシャフトによりアニメ化もされた『電波女と青春男ラノベでは売れないとされている『百合』をそれでも題材にし人気を勝ち取った『安達としまむら』などで知られている入間人間先生によるメディアワークス文庫から出版されている小説です。一応、MW文庫なのでラノベには分類されないと思います。
表紙のイラストは来期(2018年秋)にアニメ化も決定している百合好きの中で今最も注目されている作品やがて君になる仲谷鳰先生が担当しています。

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好きになったのが、“あなた”だっただけ。

 

「こういうのが初恋なんだなって、思いましたっ」

いつも背中を追いかけていた、あの人への『憧れ』。夢の中で一緒に過ごした、海辺でのあの子との『友情』。傷つけてしまったあの人へ、伝えられない内緒の『想い』。私の好きな人は、私以外の人も好きなのだろうか。たくさんの人と物の中で、その女の子を好きになっただけ。自分の気持ちが恋なのかどうか、分からないし、確かめることもできない。そんももどかしい想いを描く、少女たちの可憐な物語。

表紙からわかる通り百合です。しかもアラサーとJKの百合という強すぎる概念が含まれます。


本作は短編集の体を取っており

ガールズ・オン・ザ・ラン
『銀の手は消えない』
『君を見つめて』
『今にも空と繋がる海で』

の4つの短い話から構成されています。表紙の絵はその中から三つ目の『君を見つめて』を描いた物です。
しかし短編集の"体を取っている”とは言いましたが実はただの『短編集』ではありません。これ以上語ってしまうとネタバレになってしまう可能性があるので控えますが少しその辺り意識しながら話を飛ばさずに読んでもらえると作品の本質が見えてくると思います。


ガールズ・オン・ザ・ラン
全力で『走った時だけ見える』幻影のような正体不明の決して追いつけない、本当に存在するのかもわからない女の子をそれでも追い続けることしかできない女の子の話。

『銀の手は消えない』
心が浮遊しているような感覚に囚われる、夢のような現実のような不思議な話。


『君を見つめて』
自分が壊してしまった叔母を好きになってしまった女子高生が罪を抱きながらもそれでも叔母を求めてしまう話。264pの5行目に脳天をぶん殴られてください。

『今にも空と繋がる海で』——じゃりじゃりする話。


とにかくこの作品は、心にささくれが刺さるような少し痛みを伴う感情がデカい百合が好きな人には特に読んでほしいです。きっと刺さると思います。どうか読んでください。それが全てです。


 


P.S. 斉藤恵那概念、という言葉に反応してしまう人はこの作品はもはや必修です。買いましょう。

 

 

 

少女妄想中。 (メディアワークス文庫)

少女妄想中。 (メディアワークス文庫)