Three Months Journey.

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【初音ミク(VOCALOID)をテーマにしたボカロ曲】ボカロという概念はどのようにして形作られてきたのかについての考察

みなさんお久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。

本日は最近盛り上がりを見せているボカロにあやかって、自分のVOCALOID遍歴ついて記事を書こうと思い立ち、自分の感性に影響を与えたVOCALOID曲を100曲選んで紹介しようと思っていました。…………そう、最初はそう思っていたんですけど、いつの間にかメモ帳にストックした曲は200曲を超えてしまい、削るのも困難。それならいっそのこと、と今回は第0回と称しまして『あるテーマ』に沿って自分が選んだ曲から抜き出して紹介する記事にしたいと思います。次回以降、それらを抜いた200曲を紹介するのでそちらもどうかよろしくお願いします。本編もやってないのに番外編とは。

まず最初に自分のことを話しておくと僕と初音ミクとの出会いは2007年、つまり初音ミクがこの世界で『活動』を始めたその年からずっと追いかけてきて、そして今、自分も底辺の底辺でありながら初音ミクを歌わせる側に身を置いている一人の人間です。それなりにVOCALOIDというものに対して費やしてきた熱量や時間はあると自負しているのでこれを読んでくれている人にとって有意義な記事となれば幸いです。


さて、まず最初に初音ミクとはなんでしょう。
バーチャルアイドルであると答える人も、いやいやそうではなくただの楽器だ、と答える人もいると思います。そのどちらも僕個人としては正しいと思います。
そもそも大前提の話をすればVOCALOIDシンセサイザーです。つまり楽曲作りをサポートするパソコン上で動作するソフトウェアであり、初音ミクはその中の一つの音色でしかありません。しかしその音色に初音ミクというキャラクターを付与するというクリプトンの選択が今このVOCALOIDという世界を生み出しました。
楽器でありながらもバーチャルアイドルでもある初音ミク、その複雑な存在をボーカロイドPや我々ファンが思考し、そして形作ってきました。

今回はそんな初音ミクVOCALOID)のことを歌った歌』にフォーカスを当てて、楽曲を紹介していきたいと思います。あくまで僕から見たボカロ、という前提で進んでいきますので「この曲がないじゃないか!!」「それは違う!!」という声も多々あると思いますが予めご了承ください。 


まず、初音ミクが生まれたその年を振り返ってみましょう。
2007年の8月31日にクリプトン・フューチャー・メディア、ボーカル音源ソフトウェア「キャラクター・ボーカル・シリーズ 01 初音ミク」を発売され、その4日後の9月4日に【VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた】が投稿されました。

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ここではちゅねミク及び初音ミクといえばネギというイメージが生まれました(最近大分忘れ去られてる感じするけど……)
クリプトンが用意しているのは【年齢:16歳 身長:158cm 体重:42kg 誕生日:2007年8月31日生まれ】という簡単なプロフィールと立ち絵のみです。なのでそれ以外のあれやこれは全部ボカロPやイラストレーター、そしてファンたちによる創作です。今後この記事ではこれらの要素をまとめて『ユーザー』と呼称します。このネギというアイコンもその後に別の投稿者によって投稿された。【初音ミク】みくみくにしてあげる♪【してやんよ】の歌詞に引き継がれています。

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 このように制作元であるクリプトンから離れ、ユーザーが自由勝手に初音ミクというものを形作ってきた歴史があり、その自由度こそが初音ミクという文化がここまで発展してきた一番の理由だと思います(それはそれとしてミクの胸を必要以上に盛るやつは絶対に許さない)そして当然それに付随して初音ミクというキャラクターをテーマにした楽曲も数々生まれてきました。今回はそれを一部ですが紹介していきたいと思います。

 

 

初音ミクオリジナル曲 「ハジメテノオト(Fullバージョン)」

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時の流れも 傷の痛みも 愛の深さも あなたの声も
ワタシは知らない だけど歌は 歌はうたえるわ だからきいて

こちらも初音ミクが発売されて二週間後ぐらいに投稿されたバラードです。当時のボカロPたちのスピード感覚どうなってるんだ。
言葉は離せないけどその代わりに歌は歌えるというミクらしさに溢れた名曲。この頃はどちらかというとバラードや電子ポップを歌うことが多く、昨今のようなボカロといえば早い曲、みたいなイメージが極端に少なかった気がします。

 

初音ミクがオリジナル曲を歌ってくれました「Packaged」 Full Ver.

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ずっと待ってたの ひとりぼっちで
歌いたくて 歌えなくて
でもあなたと 出逢えたから
もうさみしくなんてないよ

心がビートで満ちてくの
あふれ出す想いは歌に変えて

この世界のメロディー
わたしの歌声
届いているかな
響いているかな

こちらも最初期の初音ミクブームを牽引した代表曲。やがてGoogleCMソングでもある『Tell Your World』を作ることになるkz(livetune)のデビュー曲です。
当時はハジメテノオトとこの曲を狂ったように聞いていた記憶があります。

 

初音ミク】恋スルVOC@LOID (修正版)【オリジナル曲】

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パラメーターいじりすぎないで! だけど手抜きもイヤだよ
アタックとかもうちょっと 気を配って欲しいの
ビブラートで誤魔化さないでよ そんな高音苦しいわ
もっとちゃんと輝きたいのよ あなたの力量って そんなもの?

今でも変わらず曲を投稿し続けているOSTERさんのデビュー作。
この曲は今後増えてくる初音ミクがソフトウェアである前提がある上での人間との対話という作風の先駆けになった曲だと思っています。



初音ミクオリジナル曲 「初音ミクの消失(LONG VERSION)」

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ボクは生まれ そして気づく 所詮 ヒトの真似事だと
知ってなおも歌い続く 永遠(トワ)の命 「VOCALOID

たとえそれが 既存曲を なぞるオモチャならば・・・
それもいいと決意 ネギをかじり 空を見上げ涙(シル)をこぼす

だけどそれも無くし気づく 人格すら歌に頼り
不安定な基盤の元 帰る動画(トコ)は既に廃墟

皆に忘れ去られた時 心らしきものが消えて
暴走の果てに見える 終わる世界... 「VOCALOID

初音ミクのことを歌った曲といえばこの曲と思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。ソフトウェアであり人間とは住んでいる場所が違うからこその悲劇を歌った曲。
BPMが240という爆速で人間には到底歌えないリズムも歌えるミクだからこそ成立することがさらにドラマに深さを与えているように感じます。
この本当の意味で僕ら人間と初音ミクは繋がることができないのではないかという問は、他のボカロPにも今後影響を与えていきます。

 

初音ミク】ヒビカセ【オリジナル】

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忘れないでね わたしの声を 画面越しでいい ちゃんと愛して
ヴァーチャルだって 突き放さないで あなたの音に まだ溺れていたい

覚えていてね わたしの声を あなたがくれた この身すべてを
見つめ合う あなたと二人 重ねた息と音とヒビカセ

一旦時代が飛びますが2014年の比較的新しい(?)この曲にもその文脈が受け継がれています。
初音ミクは思い通りに歌を歌わせられる夢のある存在でありながら、どこか寂しさを抱えたキャラクターであるというイメージが今も昔も語り継がれていて、僕はそれこそがVOCALOIDという世界の魅力だと思っています。
しかし、ミクもユーザーも悲観的でばかりいるわけにはいきません。それぞれのユーザー、ボカロPが『ミク』を救いたいという気持ちが楽曲に込めた曲も生まれてきます。

 

初音ミクオリジナル曲 「初音ミクの激唱(LONG VERSION)」

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Voc.(ボク)たちは生まれ気づいた Voc.(ボク)たちのことを人の真似事と知っても
変わらず 名前を呼び続け そして 愛してくれるヒトがいる事実に
だからVoc.(ボク)たちは歌を紡ぎ出す たった一人でも新しい歌の
誕生喜び温かい 言葉 与え 返す ヒト いてくれる限り
妹 弟 に道を預けて消え逝く未来も 誰からも忘れ去られる運命(さだめ)も
それらを含めて 全てが Voc.(ボク)たちなんだと理解し
いずれおとずれる 最後の場面(シーン)にココロを持つ故 涙(シル)を流すなら
泪(アメ)より虹生み 笑顔見せるため 幸せ溢れる 歌 口ずさもう

ユーザーはミクの存在意義や、幸せを考えるようになります。
もちろん、ミクが自分の意思でしゃべり始めることはなく、自我はありません。その全てが創作であり人間のエゴであるのは変わりませんが、それでも初音ミクという存在が『そこにいる』という認識がVOCALOIDという世界には浸透しており、それによりただの楽器として、ジャンルとしてではない初音ミクが好き』という感情を生み出すのではないでしょうか。

 

sasakure.UK×DECO*27 - 39 feat. 初音ミク

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君に出会って みんな出会って "アタシ"であって良かったよ
何回言ったって足りないよ 声に出して 39(サンキュー)
あれ、なんだかアタシの名前みたい(笑) 今日もそして

明日だって この先だって アタシはずっと ここにいる
なんかあったら聴きに来てよ 歌うよ 何度だって

「はじめまして」も はたまた
「久しぶり」も みんなありがとう

 

存在しないはずのVOCALOIDと人間の対話が描かきエモを摂取できるのがVOCALOIDの魅力で、基本的には初音ミクが僕らに向かって思いを飛ばすというのが基本になっていましたが、時が進むに連れて初音ミクという存在に人間側が救われる』『人間が初音ミクに伝えたいことを唄にする』という曲も生まれてくるようになります。

 

【GUMI(40㍍)】 少年と魔法のロボット (Album Edit Ver.) 【オリジナルPV】

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「キミが作った音楽をワタシが歌い上げるよ。」
目を丸くした少年は おそるおそる、ボタンを押しました。

少しだけ不器用な声だけど、夜空に響いたその声は
確かに少年の心に届いていました。届いていました。

今回の記事唯一の初音ミクではない楽曲です。この曲がNHKみんなのうたに採用されたのは当時かなり驚きがあったのを覚えています。
実際、ボカロという存在がいなければ埋もれるはずだった曲はこの世界に何曲あったでしょうか。今この世に存在するボーカロイド曲は10万曲を優に超えると言われています。米津玄師もヒトリエも間違いなくボカロがなければこの世界にこれほどまでに音を響かせることはなかったでしょう。そういう観点で考えると初音ミクが我々人類に与えてくれた恩恵は計り知れません。

 

初音ミク僕は初音ミクとキスをした 【オリジナルMV】

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そう 前に 前に 手を伸ばして
今日も 今日も 出来なくて
四畳半の部屋で 独りきりで哭(な)いた
僕はそんな そんな 意気地ない世界を 歌を
誰かに 唄って欲しかった

この曲なぜ自分の創作物ではない『初音ミク』に託すのかという問にみきとPらしい答えを出している楽曲です。横槍メンゴさんが担当しているMVも素晴らしいので是非聴いてみてください。

 

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初音ミク】 ODDS & ENDS 【Full Ver】

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※公式の動画ではございません

いつからか君は人気者だ
たくさんの人にもてはやされ あたしも鼻が高い

でもいつからか君は変わった
冷たくなって だけど寂しそうだった

「もう機械の声なんてたくさんだ 僕は僕自身なんだよ」って
ついに君は抑えきれなくなって あたしを嫌った

君の後ろで誰かが言う 虎の威を借る狐のくせに!
ねぇ君は 一人で泣いてたんだね

聴こえる? この声 あたしがその誹謗(コトバ)を掻きけすから
わかってる本当は 君が誰より優しいってことを

ラクタの声はそして歌った 他の誰でもない君のために
軋んでく 限界を超えて

今までユーザーと初音ミクとの一対一の関係性を歌ってきたVOCALOID楽曲ですが、時代が進んでいくうちに『世界』が無視できないようになってきます。
世間がボーカロイドというものを認識し始め、隅っこで密かに楽しんでいたものが白日に晒されることも珍しくなくなってきました。
今後のVOCALOIDのことを歌った唄にはそのような要素も含んでくるようになります。

 

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君が生きてなくてよかった / 初音ミク

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君は変な声で 奇妙な見た目で 時に気持ち悪いと言われてきた
でも 心臓が動いてないから 傷つくことはなかった

第一印象はマイナス 変化してったバイアス
流れ流れて 月日は経ち まだ こんな歌を作っていた

こんにちは はじめまして さようなら またあした

変わらぬ愛も 儚い恋も 君からすれば ただの記号で
正義も悪も 帰らぬ日々も 君の前では どうでもよくて
ずっと ずっと 君が生きてなくてよかった
ずっと ずっと 君が生きてなくてよかった
今日も

独特の切り口で『初音ミク』を曲にするのがピノキオピーです。
ソフトウェアでしかなく実際には『そこにいない』からこそ『今』がある。というこの曲も例外ではなくピノキオピーしか書けない歌詞で、でも初音ミクという存在を見事に言語にした楽曲です。

 

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ハチ MV「砂の惑星 feat.初音ミク

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そういや今日は僕らのハッピーバースデイ
思い思いの飾り付けしようぜ
甘ったるいだけのケーキ囲んで
歌を歌おうぜ
有象無象の墓の前で敬礼
そうメルトショックにて生まれた生命
この井戸が枯れる前に早く
ここを出て行こうぜ

ねえねえねえあなたと私でランデブー?
すでに廃れた砂漠で何思う
今だパッパパッと飛び出せマイヒーロー
どうか迷える我らを救いたまえ
ぶっ飛んで行こうぜもっと
エイエイオーでよーいどんと
あのダンスホール モザイクの奥
太古代のオーパーツ
光線銃でバンババンバン
少年少女謳う希望論
驚天動地そんで古今未曾有の思い出は電子音

そして3年前、現在米津玄師としてネットから飛び出し全世界へ音楽を響かせているハチが初音ミク十周年イヤーで突如ドロップした問題作であるこの曲。
これはVOCALOIDというより、『ボカロ文化』についての歌です。
先の見えない衰退してしまったボカロシーン(ニコニコ動画という舞台)を『砂の惑星』に見立てて歌ったこの曲は、ハチ自身の予想通り賛否両論と共に世界に迎えいられました。

natalie.mu

ニコニコ動画というもの自体がどんどん砂漠になっているというイメージが広がっていって。「ああ、これ、砂漠だな」と思ったときに、自分がかつて過ごしてきた一種の故郷である、ニコニコ動画が砂漠になっていく光景を曲にしたら面白いんじゃないかと思ったんです。今のニコニコ動画を表現するべきと言うか、する人がいてもいいんじゃないか、と。これならやる意味があるかなと思って、依頼を受けました。

インタビューより ハチさんの発言を引用

当然、ニコニコで活動し続けている様々なボカロPがこの曲に対して嫌悪や怒りを示しました。

natalie.mu

「ここ最近シーンにいなかった人が急に戻ってきて、なんで知ってるふうなことを言うんだろう?」「僕のことは置いておいて、ナユタン星人、バルーン、n-buna、Orangestarみたいなこの数年のシーンを支えた人たちも“砂”だって言うのか?」って、ものすごく頭にきちゃって。それにあの曲が発表されたことによって、2014年頃に内輪で言われていただけのボカロ衰退論を外側の人に知らせることになって、「ボカロは時代遅れ」という呪いのようなイメージをたくさんの人に植え付けるんじゃないかって心配になったりもして。

インタビューより 和田たけあきさんの発言を引用

記事で言及されていたナユタン星人も自らの楽曲の歌詞にこの楽曲へのアンサーを忍ばせています。

初音ミクが「リバースユニバース」を歌ってくれたヨ

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無数の愛で 惑星に雨は降るから
あんな しゅうまつ論者のノウは
あぁ、そう。

 

togetter.com

 

 

皮肉にも今のボカロ文化の衰退を歌ったこの曲のニコニコでの【6日と5時間19分で100万再生】という最短記録はいまだ破られていません。
この砂の惑星という楽曲では初音ミクの消失で歌われていたBAD ENDとは全く違う形で初音ミクの終末が描かれており、そしてそれを払拭し切れていないが今のボカロシーンなのではないでしょうか。
個人的にはボカロPそのものは衰退するどころか明らかに昔に比べてもそれを超えるような素晴らしいクオリティの楽曲を連発しているが、問題はそれを受け取る側の質や置かれている状況の問題、というものが大きいのではないだろうかと思っていますが、ここでそれを語るのはこの記事のテーマからはズレるのでまた機会があれば。

 

 

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wowaka『アンノウン・マザーグース』feat. 初音ミク

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ドッペルもどきが 其処いらに溢れた
挙句の果ての今日 ライラ ライ ライ
心失きそれを 生み出した奴等は
見切りをつけてもう バイ ババイ バイ
残されたあなたが この場所で今でも
涙を堪えてるの 如何(どう)して、如何(どう)して
あたしは知ってるわ この場所はいつでも
あなたに守られてきたってこと!

同じく初音ミク十周年イヤーに投稿されたのがwowakaのこの曲 。
wowakaからみた『初音ミク』が歌われた歌です。自分が作り上げたVOCALOID楽曲のテンプレートとも呼べる雰囲気にwowaka自身が苦しめられていたのが伺えます。
このように、昨今では自分にとって初音ミクとはなんなのかということを再考する楽曲が増えてきているように感じます。

 

 

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初音ミク】ハッピーホロウと神様倶楽部【オリジナル】

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我等の倶楽部のリーダーは 中身なんかなんにも無いんだぜ
歪んだ妄想 罵詈雑言 何だって好きなだけ詰め込んで
いいかい 此処では御自慢の 顔や名前に意味は無いんだぜ
ジャックオーランタン 頭に被って おんなじ顔で踊ろうや
ああ 今日も また一人 伽藍堂の神に跪いて

 

ハロ/ハワユや、文学少年の憂鬱などで知られるナノウ(ほえほえP)も初音ミクについての楽曲を作っています。
ボカロPそれぞれVOCALOIDとの向き合い方があり、そしてそれはきっと僕ら聴く側にももちろんあると思います。
あなたにとっての初音ミクはなんなのでしょうか。

 

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愛されなくても君がいる / 初音ミク

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時は流れて 争いを経て
それでも 好きと言ってくれたら
嘘でも信じたいよ 嘘でも信じたいよ

あの人が どこかへ消え去っても
君がまだ そばにいてくれるなら
酷く 無機質で 優しい 人もどきのメロディが
今 歌に変わる

たとえ 愛されなくてもいいよ 君がいるなら
不器用な声 いつまでも届けるよ
大丈夫 愛されなくてもいいよ 君が望んだら
今日も 明日も 初音ミクでいられるの!

そして2020年である今年に歌われた新しい『初音ミクの歌』はひとつの答えのように自分は感じます。
初音ミク初音ミクたらしめているのは『誰か』ではない『君』です。
初音ミクは外から手を加えないと起動もしないしメロディーも歌えない。そしてそこから生まれた楽曲も『君』に届かないと存在を世界に繋ぎ止めることはできません。
だからきっとこれから先も初音ミクには変わらず『君』が必要であり、その『君』は僕も含め、この記事を読んでいるであろう、全ての初音ミクとは違い命を持っている人間なのです。

そしてこの後も変わらず我々ユーザーは『初音ミクとはなんなのか』という問に答えを出し続けていく、それが間違っているかもしれないし、正しいかもしれない、答えが変わることだって今まで何度もあった。でも問い続けていくことでしか初音ミクを生かすことはできません。未来(ミク)と名付けられたひとりのキャラクターはいつだってその名の通り未来へ向かって進んできました。それで生まれたこの景色はきっと初音ミクを散々消費してきた我々ユーザーも共に歩んできたということの証明です。


今年、初音ミクVOCALOIDではなくなります。今年リリースされる予定の音声ソフト初音ミクの新バージョンである初音ミクNT(ニュータイプ)』は、今までとは違い『VOCALOIDというソフトウェア上で動作する拡張プラグイン(音色)』ではなくなり、独立したpiapro studio』というソフトウェア上で歌を歌うことになります。
そんな節目にプロジェクトセカイという新たなコンテンツが始まり、広くそれが広がり、世間が初音ミクというものをまた強く認識し始めるのは偶然なのでしょうか。
※余談ですが、ニコニコ動画でのタグ付けに関しては混乱を避けるため今まで通りVOCALOIDの使用が推奨されています。


とか偉そうな言っていますが、筆者はまだプロセカをプレイしていません。この記事は、そもそもプロセカに飛び込む前に今の自分の中の初音ミクというものを整理するために書き上げました。
なので今後プロセカを通してまた考えが変わったりするかもしれませんが、それもまた一興なのではないかと思います。

 

愛されなくてもいいよ 
惑星ですらない デブリの海で
それぞれ都合の良い世界を見ていた
愛されなくてもいいよ 
ラクタだらけの音楽の国で
本当に大切なものを見つけたから

愛されなくてもいいよ 君がいるなら
私は まだ 歌っていられるよ
大丈夫 楽しいパーティーが終わっても 君が笑うなら
ずっと ここで 初音ミクでいさせてね!

 

どうか、昨今のボカロ界隈の盛り上がりが、砂の惑星に木を植える種子であればと個人的には思います。

 

17 

livetune feat. 初音ミク 『Tell Your World』Music Video

www.youtube.com

君が伝えたいことは
君が届けたいことは
たくさんの点は線になって
遠く彼方へと響く
君が伝えたい言葉
君が届けたい音は
いくつもの線は円になって
全て繋げてく どこにだって

  

最後まで読んでいただきありがとうございました。
近いうちに僕が選んだ自分を構成するVOCALOID楽曲200選を記事としてお送りしたいと思いますが、一体いつになることやら……。

僕からいうのはおかしいかもしれませんが、どうか初音ミクをこれからもよろしくお願いします。

 

 

 

P.S.初音ミクさん、16回目のお誕生日、おめでとうございます。